筋トレで汗をかき、その後お風呂に入って汗を流すと気持ちいいですよね。
お風呂にも、
- お湯の風呂
- 水風呂
- サウナ
- シャワー
など様々な選択があります。
しかし、最近の研究によって、筋トレ後の水風呂は筋肥大の効果を減少させることが示唆されました。
今回は、『【薬剤師監修】筋肥大目指すなら、筋トレ後のお風呂は水風呂にするな!』と題し、薬剤師の視点からそのメカニズムと、筋トレ語のお風呂のおすすめの入り方について解説します。
アイスバスは筋肉の回復に効果的!
皆さんは、「アイスバス」という言葉をご存知でしょうか。
アイスバスとは、「運動後、氷などで水温を10度以下にした水風呂に10分程度つかる」ことをいい、サッカー選手の川澄奈穂美(日本)や女子マラソン選手のポーラ・ラドクリフ(イギリス)選手、テニス選手のアンディ・マリー(イギリス)など、世界で活躍するトッププレイヤーも取り入れる入浴法です。
アイスバスは、運動後の筋肉の炎症・損傷を改善させ、筋肉痛を改善することにより、筋力の回復に寄与することが示唆されています。(Versey NG, Sports Med,2013)
メカニズムは2つあり、
- 寒冷刺激
- 静水圧
主にこの2つの作用によって、筋肉の回復が促されます。
寒冷刺激は、血管運動神経を介して筋肉の血流増加と、神経の閾値上昇・伝達速度の低下より鎮痛作用を示します。(日本薬学会HP)
静水圧は、いわゆる水圧による物理的な刺激により、末梢から心臓への血流増加とそれに伴う栄養素や老廃物の輸送の増加を引き起こし、筋肉の炎症を抑え、浮腫を改善します。(Wilcock IM,Sports Med. 2006)
これら2つの効果により、アイスバスは筋肉の炎症とむくみを除去し、痛みを取り、筋肉の回復を促進します。
しかし、アイスバスには良い点ばかりではありません。
次から紹介します。
アイスバスが筋肉に悪影響を与える根拠
クイーンズランド大学のRobertsの研究によると、「筋トレ後の冷水浴は、筋タンパク質の合成感度の上昇を抑える」ことが示唆されています。
Robertsらはトレーニング経験のない被験者を対象に、
- 筋トレ後に冷水浴を行うグループ
- 自転車を用いてアクティブクールダウンを行うグループ
にグループを分け、脚のトレーニング(スクワット、レッグエクステンションなど)を週2回・1回10〰12RMを12週行いました。
その結果、どちらも大腿四頭筋の筋肉量は増加しましたが、冷水浴を行ったグループがほぼ横ばいだったのに対し、アクティブクールダウンを行ったグループは大きく変化が起こりました。
これは、筋タンパク質の合成を促進する『p70S6キナーゼ』という酵素のリン酸化による機能の低下によるものではないかと述べられています。
また、筋トレ後のアイスバスは、運動のメリットを損なわせる可能性があります。
アイスバスは、筋損傷によって筋肉で起こる細胞応答やタンパク質に対しネガティブに反応し、「筋肉の増大」や「強度の向上」、「細胞の改善」といった減らしたり、鈍化させる可能性があると示唆されています。
しかし、持久力トレーニングでは。「ミトコンドリアの生合成」を促進し、持久力の向上に寄与するといわれています。
つまり、結論を言うと、筋トレ後のアイスバスは避けることが望ましく、持久力トレーニングでは推奨されるとなります。
まとめ
筋トレ後の冷水浴は避けることが望ましいです。
しかし、上記の研究はあくまで『トレーニング経験のない被験者』、『冷水(10度)』という条件で行っています。
きっとこの記事を読んでいる人は『トレーニング経験者』であり、東京都水道局によると水道水を使った水風呂の温度は約16.8℃(ジムのサウナの水風呂は10℃以下かもしれませんが・・・)であるため、あくまで参考程度とするのが良いと思います。
参考文献
Versey NG, et al. Water immersion recovery for athletes: effect on exercise performance and practical recommendations. Sports Med. 2013 Nov;43(11):1101-30.
Wilcock IM, et al. Physiological response to water immersion: a method for sport recovery? Sports Med. 2006;36(9):747-65.
Roberts LA, et al. Post-exercise cold water immersion attenuates acute anabolic signalling and long-term adaptations in muscle to strength training. J Physiol. 2015 Sep 15;593(18):4285-301.