この記事で分かること
- 汗に効く市販の漢方薬がわかる
- 多汗症・汗っかきを改善する漢方薬の選び方がわかる
多汗症、本当につらいです。
街を歩いていても、周りのみんなは『暑さなんかどこ吹く風』といったように颯爽と行き交っていますが、僕は頭から背中から湧き出る汗で服が濡れ、なんで自分だけこんな苦しい思いをしなければいけないのかと、自分の人生を呪ったこともあります。
書類を書く時にも、紙に手汗が滲まないように、意識をするだけでさらに汗が出てその繰り返し・・・。
汗をかいて服が変色するのを恐れて、黒い服しか着れなくなってしまったり・・・。
僕はこの多汗症を克服するために、
- 薬(西洋薬、漢方薬、塗り薬)
- サプリメント
- 病院での処置
- 対策グッズ
- 服
- 精神
- 制汗剤
- ダイエット
など、ありとあらゆる方法を試しました。
その中でも、漢方薬による治療は多汗症を治すのに大きな影響を与えたため、本記事で紹介したいと思います。
ちなみに、多汗症は完全には治せません。
調べてもらえれば分かりますが、有名な多汗症専門皮膚科医も同じように述べています。
この記事を読んでいるあなたはきっと、汗を完全にかきたくないと思っていると思いますが、人間汗をかかないことはまずないです。
街で涼しげに歩いているあの人も、汗はかいています。
ただ、出る量が少なく、見た目には反映されていないだけです。
まれに「無汗症」といって、まったく汗をかかない人もいますが、それは病気です。
非常に熱中症になりやすく、常に命の危険と戦っているのです。
つまり、私たちが目標とするのは「汗は適度にかくが、頭、体、手、下半身から滴り落ちない程度の状態になること=そこら辺の普通の人」です。
前置きが長くなりましたが、それでは多汗症に効く漢方薬を紹介していきます。
最後までぜひお読みください。
汗を抑える市販の漢方薬4選
ここから、多汗症・汗っかきに効く漢方薬を紹介します。
おすすめの漢方薬は4種類あります。
- 防已黄耆湯
- 黄耆建中湯
- 白虎加人参湯
- 補中益気湯
防已黄耆湯
構成生薬
防已(ボウイ)、黄耆(オウギ)、蒼朮(ソウジュツ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)
【効能・効果】
色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛するものの次の諸症
腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順
防已=利尿作用
黄耆=体表の水分のうっ滞を改善する効果がある
参考:ツムラ防已黄耆湯(PMDA添付文書に移行する)
イメージとしては、「太っていて汗っかき」「通勤中数分歩くだけで汗をかいてしまう」という人に適しています。
こういう人は、体力がなく、水太りの傾向にあるため、「防已」による体内の余分な水分の排水と、「黄耆」による汗腺の引き締め効果により、防已黄耆湯はこのような体質の人に効果的であるといえます。
つまり、防已黄耆湯は体の水分バランスを整えて、異常発汗を抑制する漢方薬といえます。
黄耆建中湯
構成生薬
芍薬(シャクヤク)、 黄耆(オウギ)、 桂皮(ケイヒ)、 大棗(タイソウ)、 甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)、膠飴(コウイ)
【効能・効果】
身体虚弱で疲労しやすいものの次の諸症:
虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ
「小建中湯」に「黄耆」を足したもの。
※小建中湯は、虚弱な子供の体質改善によく使われます。
参考:ツムラ黄耆建中湯(PMDA添付文書に移行する)
イメージとして、「普段から疲れやすさを感じる」「特に寝汗がひどい(枕、布団がビチャビチャになる)」「おなかが減る」といった人に適しています。
こういう人は、疲れやすさの体質改善のために「小建中湯」、そして漏れ出る汗を止めるために「黄耆」を組み合わせることによって、汗っかきの状態を改善します。
白虎加人参湯
構成生薬
知母(チモ)、石膏(セッコウ)、甘草(カンゾウ)、粳米(コウベイ)、人参(ニンジン)
【効能・効果】
のどの渇きとほてりのあるもの
イメージとしては、「体の中に熱がこもっている感じがする」「外を歩いて、涼しい室内に入った後も熱が抜けず、汗が止まらない」「喉が渇き、冷たい飲み物をたくさん飲む」といった人に適しています。
「知母」「石膏」は体の熱を冷まし、「粳米」と「人参」で気を補います。
補中益気湯
構成生薬
人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、黄耆(オウギ)、当帰(トウキ)、陳皮(チンピ)、大棗(タイソウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、升麻(ショウマ)
【効能・効果】
消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症:
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症
イメージとしては、「ひどく疲れがでていて、あまり食欲がない」「運動をしなくても感覚だけで汗が出てくる」ような人に適しています。
異常に汗が出る状態は、東洋医学では「気が上っている(気逆)」「虚弱」の状態であるといいます。
そこで、気を補い、正しい流れに整えるのが「補中益気湯」です。疲労状態を改善し、汗っかきを改善します。
現役薬剤師が、あなたに合う漢方薬の選び方教えます。
先ほども、それぞれの漢方薬はどんな体質の人に適しているか説明しましたが、こちらで分かりやすくまとめました。
ぜひ参考にして、あなたに合った漢方薬を探してみてください!
step
1体が火照りやすい、加えて喉が渇く Yse or No?
Yes→ 白虎加人参湯
No→ Step2へ
step
2特に寝汗が気になる Yse or No?
Yes→ 黄耆建中湯
No→ Step3へ
step
3水太りの気があり、歩くだけで汗をかいてしまう Yse or No?
Yes→ 防己黄耆湯
No→ 補中益気湯
step
41か月試してみて、あまり汗の量が変わらなかったら?
紹介した4個の漢方薬をローテーションして試してみる。
[/st-mybox margin="25px 0 25px 0"]
まとめ
今回はあなたに合った、汗っかきに効果のある漢方薬について紹介しました。
漢方薬は体質改善を目的に使用されることが多く、僕も自由が丘の漢方薬専門医に相談して漢方薬を処方し1か月間服用したところ、確実に汗の量が減ったことを実感しました。
ただし、漢方薬は保険が効いても高いです。
今考えると、もう少し数を絞って、単品でも自分に合った漢方薬を探せばよかったのではないかと思います。
そこでおすすめしたいのが、市販の漢方薬を1種類試して、もしそれで効果が感じられなかったら、ローテーションして自分に合った漢方薬を探すという方法です。
最初は、漢方薬選びが大変ではありますが、それを乗り切ってしまえば継続購入するだけなので、最初だけ、将来の自分への投資と思い、割り切って努力することをおすすめします。
汗っかきは必ず改善します。
その手段の一つに漢方薬をぜひ取り入れてみてください。
多汗症に使われる漢方薬
- 防已黄耆湯
- 黄耆建中湯
- 白虎加人参湯
- 補中益気湯