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【薬剤師監修】市販の頭痛薬による「薬物の使用過多による頭痛」まとめ

2020年11月28日

Teraryo

現役薬剤師5年(認定薬剤師取得)
筋肉専門薬剤師として、正しいボディメイクの知識を広めるため情報発信をしています。
皮膚科門前薬局4年間の経験と大学研究室での経皮吸収の研究の経験を生かし、美肌・肌の悩みを解決します。 多汗症専門薬剤師としてあせっかき・多汗症の悩みを解決します。
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頭が痛いからといって頭痛薬を長期連用していると、それが原因となって「薬物の使用過多による頭痛」が引き起こされることがあります。

 

以前は「薬物乱用頭痛」といわれていましたが、言い回しが変わりました。

 

つまり、頭痛薬を使いすぎると、その頭痛薬のせいでさらに頭痛がひどくなるよ!というものです。

 

今あなたが感じている頭痛はどうなのでしょうか。

 

本記事では、「【薬剤師監修】市販の頭痛薬による「薬物の使用過多による頭痛」について」と題して、詳しく解説したいと思います。

 

薬物の使用過多による頭痛の判断基準

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版では、

 

【8.2 薬物の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MHO)】

A.以前から頭痛疾患をもつ患者において、頭痛は1ヶ月に15日以上存在する

B.1種類以上の急性期または対症的頭痛治療薬を3ヶ月以上を超えて定期的に乱用している

C.ほかの最適なICHD-3の診断がない

 

という区分があり、そこから細かく

【8.2.3.1 パラセタモール(アセトアミノフェン)乱用頭痛】

【8.2.3.2 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)乱用頭痛】

【8.2.5 複合鎮痛薬乱用頭痛】

と、分かれています。

 

その中で、市販の頭痛薬が関与しているのが、【8.2.5 複合鎮痛薬乱用頭痛】です。

 

この場合診断基準が追加され、

3ヶ月を超えて、1ヶ月に10日以上定期的に1つ以上の複合鎮痛薬を摂取している

 

つまり、1ヶ月の間に頭痛薬を10日以上飲んでいる月が、3ヶ月以上あるということです。

 

これに当てはまると、あなたは薬物乱用頭痛である可能性が高いといえます。

 

今感じている頭痛は市販の頭痛薬で対処可能か

 

日本神経学会・日本頭痛学会.慢性頭痛の診療ガイドライン2013.p39.医学書院.2013を参考にしています。

 

市販の頭痛薬で対処可能である場合

比較的軽症の頭痛であれば、市販薬でも対処が可能です。

 

薬物乱用頭痛に陥らないように、

  • 服用日数の制限(月10日以内)をもうけ、
  • 服用日数の比較的多い患者の場合、単一成分の市販薬

を選択しましょう。

 

市販の頭痛薬で対処不可能である場合

  • 頭痛が中等度〜重度で市販薬が無効である場合
  • 市販薬をよく服用する場合

市販薬で対処不可能または他の病気である可能性が高いです。

可能であれば受診し、医師の指導のもと治療を行うことをおすすめします。

 

何が薬剤の使用過多による頭痛の原因になるのか

 

実は、市販薬による薬物の使用過多による頭痛の原因にはある特徴があります。

 

日本では、頭痛薬といえば大体3〜5種類の成分が入っていることが多く、メイン1つ、サブ2〜3つ、その他1〜2つという構成になっているます。

 

例えばイブクイック頭痛薬DXを見ると、

イブクイックDX画像

  • メイン(主成分):イブプロフェン
  • サブ(副成分):アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン
  • その他:酸化マグネシウム

となっています。

 

では、何が薬剤の使用過多による頭痛の原因となっているかというと、

  • カフェイン
  • 鎮静薬(アリルイソプロピルアセチル尿素)

です。

 

もちろん、主成分の鎮痛剤が原因にもなりますが、この2つが日本では問題になることが多いです。

注意ポイント

ちなみに諸外国では、アリルイソプロピルアセチル尿素は使用されていません。

薬局方にも収載されていません。

あなたの頭痛はもしかしたら、頭痛薬の中に入っているカフェインやアリルイソプロピルアセチル尿素の過剰摂取が原因である可能性もあるため、頭痛薬の長期の使用は控えましょう。

 

また、カフェインが頭痛の原因になるということは、コーヒーの摂りすぎも頭痛の原因になりますので、注意しましょう。

 

頭痛は何科にかかればいい?

 

それでは、市販の頭痛薬で対処できない場合、薬剤の使用過多による頭痛を疑う場合、何科にかかれば良いのでしょうか。

 

キーワードはこちらです

キーワード

  • 頭痛外来
  • 神経内科
  • 内科
  • 認定頭痛専門医一覧(日本頭痛学会)

上記を標榜している病院に行けば良いです。

 

しかし、注意点があります。

それは、頭痛の鑑識にあまり詳しくない医師もいるということです。

 

僕は広く処方箋を受けている薬局で薬剤師をしていますが、ときたま頭痛薬を処方されている患者さんが来ます。

 

診療科は内科なのですが、5ヶ月もブルフェン(イブプロフェン←市販薬に入っている)を処方されていて、ずっと頭痛が治まらないとのことでした。

 

これはずっとブルフェンを継続して飲んでいるせいで薬物乱用頭痛を起こしているのではないか・・・)と思い、認定頭痛専門医を紹介し、受診してもらいました。

 

2週間後、その病院の処方せんを受け付けたところマクサルトが処方されており、片頭痛だったと判明しました。

 

頭痛が出たときに受診するのはもちろん、いつも通っている病院でもいいと思うのですが、生活に支障が出るほどの頭痛であれば、専門医に詳しく診てもらうことを推奨します

 

僕が頭痛専門医を探すのに使用しているのは、キーワードにも出ていましたが、『認定頭痛専門医一覧(日本頭痛学会)』を参考にします。

日本頭痛学会

 

今住んでいる地域から最寄りの専門医を探すことができます

 

主に総合病院に勤務している医師が多いことから、早期に予約・受診することをおすすめします。

 

また、医師が適切に診察を進められるよう、頭痛ダイアリーをつけましょう。

 

頭痛ダイアリーは日本頭痛学会が作成した頭痛の記録簿で、ホームページからPDF形式でダウンロードし無料で使うことができます。

 

頭痛薬は高価なものが多く、あなたに適していないものだと無駄になってしまいます。

ぜひ頭痛ダイアリーを活用して、正しく診断してもらいましょう。

 

まとめ

 

市販の頭痛薬を長期に使用することで、逆にそれが原因の頭痛が起こることがあります。

 

  • 頭痛薬の使用を月に10日以内におさめること。
  • 月10日以上使用する場合、3ヶ月以上の使用では薬剤の使用過多による頭痛を疑うこと

など、この記事で説明したことをよく読み、市販の頭痛薬を正しく使用しましょう。

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