
こういった疑問に答えます。
結論
テストステロンと聞くと、何となくヤバい印象を持っていませんか?きっと多くの方はドーピングといった、ズルいものだという印象が少しはあるかと思います。
しかし、テストステロンは人の体の中で合成される自然なホルモンであり、決して人工のものでは無いということを知っておいてもらいたいです。それどころか、加齢によりテストステロンの合成量が減ると、筋肉量や筋力が減ったり、生活習慣病(糖尿病、肥満、脳・心血管障害)にかかりやすくなるというエビデンスまであります。
では、テストステロンは筋トレとどのように関係しているのでしょうか。
今回は、テストステロンと筋トレの関係について薬剤師が詳しく解説します。
テストステロンが筋肥大を促進するメカニズム
上の図を見てもらえれば分かるように、テストステロンは脂質(コレステロール)をもとにして体内で合成されます。男性では主に精巣のライディッヒ細胞、わずかに副腎で生合成され、女性では卵巣・脂肪・副腎で合成されますが、その量はごく少量です。
テストステロンは血液内では、約30%がアルブミン、約70が性ホルモン結合性グロブリン、約1%が遊離型で存在している。(ちなみに生理活性があるのは遊離型のみ)。つまり、テストステロンとして強く作用するのは遊離型のみと言えます。しかし最近の研究では、結合型も活性があることが示唆されており、細胞内のカルシウム濃度を増加させ、筋力を促進させる可能性があります。参考:日本メンズヘルス医学会
テストステロンは他にも筋細胞のアポトーシスを抑制するはたらきもあります。要するに、細胞の分解を抑制するということです。
テストステロンのはたらき
テストステロンは以下の働きをします。
- タンパク質合成の促進、分解の抑制
- 骨の成長を促進する
- 性衝動の増加
この中で筋肉に関係してくるのは、1番目のタンパク質合成です。
Markらの、肥満男性らを対象に行った研究では、テストステロン補助剤を摂取した群は対照群に比べ筋肉量が増加し、体脂肪量は減少することが示唆されました。*1
よって、テストステロンは運動機能の増加と筋力の向上に必要なホルモンであるといえます。
参考文献
*1 Effects of testosterone treatment on body fat and lean mass in obese men on a hypocaloric diet: a randomised controlled trial